投資家であれば1円でも多く資産を増やしたいと誰もが思っていることでしょう。自身の選んだ方法で通帳に記載された数字が増えていくのは、投資の楽しみの一つです。
投資を行う上で欠かせないのは「どこに投資して、どのように資産を増やしていくか」ですが、みなさんは何か独自の戦略をお持ちですか?
今回は「低リスクで資産増やす可能性を秘めている」と言われている分散投資をご紹介します。
やろうと思っていてもなかなか踏み出せない方も多い投資ですが、この機会にできる限りリスクを減らし、効果的な投資を目指してみてはいかがでしょう?
資産分散とは、リスクを減らすために対象や種類を分散させる投資手法のことを指します。
分散投資の手法は人によってさまざまですが、一般的には中・長期の資産運用に適しており、急激な資産価値の低下を抑えられる点がメリットと言われています。
今回は、価格高騰が注目されている、不動産を利用した分散投資の手法をご紹介します。「俺も買ってみようかな」と思ってはいるものの、足を踏み出せていない方は参考にされてみてはいかがでしょうか?
まずは投資をする前に、商品の特徴を知っておく必要があります。今回は、投資対象として一般的な株式投資と不動産を比較してみましょう。
毎日ニュースでも価格推移が報道される株式。インターネットでも購入できる手軽さから、チャレンジしている方も多いのではないでしょうか。
株式投資を行う上で、考えなければいけないのが価格変動のリスクです。
ここでは、日経株価平均を例に見ていきましょう。
(数字の単位は円 2015年10月のみ10月15日の終値を掲載しています)
上記は2015年1月からの日経平均株価の推移を表したものですが、今年だけでも3000円の動きがあり、簡単に取り扱いできる反面、随時変動する価格を注意深く見守る必要があります。
(数字の単位は円)
上の表は日経平均株価の過去最高値と最低値を示したものです。史上最高を記録したのはバブル景気の最中にあった1989年12月で、その額は38915円。一方、史上最低価格を記録したのはリーマンショック間もない2008年の10月で、その額は6994円でした。
例えば日経平均株価が18000円の時に1000株購入し、のちに史上最高額まで高騰した場合の収益を考えると下記のようになります。(手数料などは考えないものとして計算しています)
2倍以上の利益を得られる可能性のある株式投資ですが、一方で株価下落によるリスクもあります。
史上最低価格まで下落した場合には、1106万円の損失を生む可能性を秘めており、取り組みやすい一方で、周辺事情に左右されやすいという弱点もあります。
主に都心エリアなどで価格が高騰している不動産。
23区で販売されているマンション(70㎡換算)の平均分譲価格が6000万円を超えるという報道もあり、投機を検討されている方も多いのではないでしょうか?しかし、投機目的で新築不動産を購入するには注意が必要です。
(数字の単位は万円)
表は国土交通省が発表している首都圏にある新築マンションの販売価格を表したものです。昨年のデータは5040万円でしたが、過去9年間はいずれも4000万円代。現在の販売価格が高めに設定されていることがわかります。
さらに、もし新築住宅として表示ができるのは1年以内と決められており、時が経てばたつほど、資産価値の評価は下がる傾向にあります。
現在価格が高騰しているマンションですが、投機対象として首都圏の不動産を購入するには、慎重な見極めが必要な状況です。
「このマンションいいなぁ」と思った時、あなたは何を魅力に感じていますか?投資物件を購入する際は、どこが気に入ったのかを慎重に分析する必要があります。もし、あなたがその物件を気に入った理由が、新築の人気マンションだったら注意が必要かもしれません。
日本の不動産は、新築時に最も価値が高く、中古物件扱いになると10%から20%も低下、10年で半額、減価償却を終えた25年で価値がゼロになると考えられてきました。
参考:空き家が蝕む日本(ポプラ新書)
新築物件を購入すると、常に資産評価額の目減りを意識した運用が求められます。さらに物件を賃貸する場合にも、気をつけなければいけない点があります。
中古物件になった途端、どんなに人気があるエリアでも、入居希望者が減る可能性があるということです。リフォームをするとしても、ワンルームの購入では、マンションの住民との協議が必要になる場合もあるため、非常に手間がかかると言えます。
現在価格が高騰している首都圏のマンションですが、投機対象として購入を検討するのならば、慎重な見極めが必要な状況です。
新築物件の不動産評価額低下や空室のリスクを考えると、あえて中古物件を購入するというのも有効です。
不動産が新築からの資産価値の目減りが早い反面、建築10年目以降は資産価値が安定する傾向があります。
首都圏で新築マンションを購入できるラインと言われている3000万円で中古物件を1棟買いすれば、複数の部屋を所有でき、収入ゼロのリスクが減らせるという点でも魅力的です。
例えば3000万円の全6戸の物件で、利回り10%を目指す場合、
という計算になり、仮に毎月の家賃7万円とした場合、4部屋に入居者がいればクリアできる計算になります。2部屋は空室でも収益が確保できる点は、新築にはない魅力です。
現在、首都圏を中心に地価が高騰している不動産業界ですが、その傾向は地方にも波及しつつあります。地方都市にも高利回りの物件が多く出回っているため、リスクなどを踏まえ地方の物件に投資するのも有効な手段の一つです。
下の表は、都内の人気エリア、お台場の地価公示価格の推移を表したものです。現在地価高騰中のお台場ですが、東日本大震災が発生した際には大きく価格を下げています。
お台場エリアは震災でも液状化しなかった場所ですが、都心の一等地であっても埋め立て地というだけで大幅に下落してしまう点を考えると、全国各地の不動産を分散して購入するのは、リスクを回避するための有効策といえるでしょう。
年 | 地価公示価格( 1m2あたり) | 坪単価 | 上昇率 |
---|---|---|---|
2011 | 56万2333円 | 185万8953円 | -28.55% |
2012 | 54万8666円 | 181万3774円 | -2.43% |
2013 | 54万6000円 | 180万4958円 | -0.49% |
2014 | 56万5333円 | 186万8870円 | 3.54% |
2015 | 57万7000円 | 190万7438円 | 2.06% |
もし地方の物件を購入するのなら、どのような基準で選べばいいのでしょうか?
下の表は2015年の地価公示価格の上昇率が高かったエリアです。全国的に見ると商業地や観光地を中心に地価上昇を見せています。
特に、震災からの復興が進みつつある宮城県、駅前の再開発が進む長崎県、観光客増加により開発が進む京都府や大阪府といったエリアで高い伸びを見せました。
都道府県 | 地価公示価格( 1m2あたり) | 上昇率 |
---|---|---|
北海道 | 3万8941円 | 0.71% |
宮城県 | 8万1427円 | 4.03% |
愛知県 | 15万5071円 | 3.34% |
石川県 | 5万9407円 | 1.69% |
京都府 | 17万4727円 | 2.51% |
大阪府 | 23万9048円 | 2.87% |
広島県 | 10万4190円 | 0.24% |
福岡県 | 9万9002円 | 2.29% |
長崎県 | 4万6901円 | 4.24% |
沖縄県 | 7万4553円 | 1.34% |
特に観光に力を入れているエリアは、国が訪日外国人増加を推進していることからも開発などが行われる可能性があり、今後の動向が注目される地域です。
そして地方は駅前や主要商業地エリアの物件が、都心よりも手ごろに購入できる点も魅力的です。
「投資をしよう」と思っても、実際は踏みとどまってしまう方も多いのでは?
少しでもリスクを少なく、それでも資産を増やしたいという方にとって、不動産の分散購入は効果的な方法の一つと言えるでしょう。
高値安定の新築物件に投資したい気持ちもわかりますが、低リスクでも資産を増やす可能性を秘めた、地方の中古物件への投資をこの機会に検討してみてはいかがでしょうか?