2020年のオリンピックに向け、各地で不動産取引が活発に行われていますが、「お手頃価格の物件があれば、新規の不動産投資を始めてみたい」とお考えの方も多いのではないのでしょうか。
あなたは投資用の物件を探す際、どのポイントを重視して選ばれていますか?
利便性や立地など、ターゲットによってさまざまですが、物件選びの決め手となるこれらの情報に、実はきちんとした基準があるのです。
そこで今回は、お手頃不動産を見分けるための広告の見方をご紹介します。実際の物件探しを始める前に、チェックしてみて下さい。
不動産広告でよく見られる「××駅から徒歩×分」の表示ですが、「1分=80m」と、規則(不動産の表示に関する公正競争規約<表示規約>)で基準が定められています。
直線距離ではなく、道路距離での表示が義務付けられており、実際の歩行時間に近い距離になるような方法が用いられています。
しかし実際に物件の内覧に出かけた時、「思ったよりも所要時間が長かった」「きちんと距離を測っていないのではないか」などと感じたことはありませんか?
この違いは、道路距離の表示方法と実際の動きの違いによるものです。
まず、1分間80mの徒歩は、実際に街中ではかなりの早歩きになります。身長や歩幅が小さい、もしくはヒールなどを履いている場合などは、毎分80mで歩くことは難しく、誤差が生まれる可能性もあります。
次に考えられるのが、信号待ちです。実際に街を歩くと、信号で立ち止まらずに目的まで着けるケースは稀です。しかし、道路距離表示には信号待ちの時間は含まれておらず、実際の歩行時間との違いが生まれやすい要素の一つです。
特に、都心部の交通量の多い地域などは、誤差が生じやすいので、物件見学に行った際に、スマホなどを使い、実際に要した時間を調べておきましょう。
実は、建物によっても道路距離の表示に違いがあります。
歩行距離とのギャップを感じやすい代表例が、駅やスーパーマーケットなどの大型商業施設です。
住宅などの不動産は、出入り口を基準に道路距離の計測が行われていますが、駅やスーパーなどは、実際の出入り口ではなく、敷地の端が起算点になります。
そのため敷地が広い場合には、実際の出入り口に到着するまでに、道路距離よりも長い距離を歩かなければならないケースも見られます。
広告表示には明確な基準が定められています。しかし、少しでもギャップを少なくするためには、しっかりと内見に出向くなど積極的に姿勢が大切です。
自動車を利用する場合の距離表示も「1分=400m」を基準にして定められていることがありますが、この表示には徒歩と同様に、信号待ちなどの時間は含まれていません。
そのため自動車を利用する場合、信号待ちの他にも、交通渋滞、一方通行、駐車場探しに苦労するなど、目的地に到着するまでに予想以上の時間を費やすケースも見られます。
もし、より正確な所要時間を知りたい場合には、実際に物件を見学する際に、周辺の交通状況などを確認することをオススメします。
入居付けに影響を与える要素のひとつに、物件の名称があります。
特に最寄り駅や近所にある名称、街道などが入った物件名は、広告を見ただけで生活をイメージすることができるため、入居者が見つけやすい場合もあります。
実は、不動産に地理的な名称を使う際に、細かく制限が定められているのです。下記では、特に代表的なものをご紹介します。
・慣習的に使われている地名、旧称、歴史的名称
・物件の最寄り駅、停留所名(5000mを超える場合には、距離表示の併記が必要)
・公園、庭園、観光施設など:直線距離300m以内
・街道名、坂の名称:物件が面している場合には使用可能
・温泉地、名勝など:直線距離1000m以内
・海岸、河川、湖沼:堤防から1000m以内
駅や公園の名称が含まれている不動産は、都心部などで多く見られますが、用いられている距離制限にも違いがあります。旧称には距離制限が適用されていない一方で、公園や観光地を物件名に使う場合には、比較的厳しめの制限基準が設けられています。
もし、投資用の物件を購入される際には、物件名称に定められた制限を念頭に置いて、内覧に足を運ばれてみてはいかがでしょうか?
もし、より正確な所要時間を知りたい場合には、実際に物件を見学するなど、積極的に情報を集める必要があります。
不動産広告に使われている言葉の中にも、曖昧な定義のまま使われているものがあります。
その代表例が「駅近」です。下記のような目安は設けられていますが、法律で厳密に決められたものではありません。
・超駅近…徒歩5分以内
・駅近…徒歩10分以内
・徒歩圏内…徒歩20分以内
あなたが思い描くイメージとは異なる可能性もあるので、念頭に入れた上で、物件を探しましょう。
また、この「駅近」の物件を購入する際には、あらかじめ気をつけなければいけないポイントがあります。
まず、一つ目は周辺環境です。駅周辺は繁華街になっているケースも多くあります。風紀の乱れたエリアは、女性の居住やこれから子育てを考えているファミリー層は敬遠する傾向があるため、入居者付けにも影響します。
二つ目は、駅周辺には高層ビルが集中しているエリアが多いことです。どんなによい立地でも、日照条件が悪く、洗濯物をベランダで干せない物件は入居者に敬遠されがちです。駅近だからと言って安易に投資物件を選ぶのは避けるようにしましょう。
そして入居者にとって一番の悩みは、「駅近」エリアの高額な販売価格です。
投資用の物件は居住用物件と異なり、収益が最優先されます。
駅近の新築物件を購入するよりも、徒歩圏内の中古マンションを一棟購入したが投資効率が良い場合もあります。
「あなたが住みたいかどうか」ではなく、運営費や収益プランを十分に検討してから、物件を購入しましょう。
盛況な取引が続く不動産業界の報道に触れ、新規の不動産投資をご検討中の方もいらっしゃると思います。
もし、まだこれから物件を探されるようでしたら、今回ご紹介させていただいた不動産広告の規則を参考にしてみてください。