不動産投資の代表的なリスクといえば「空室リスク」。ここでは、その基本的な対策を紹介します。
2016年10月に株式会社タスが発表したデータによると、1都3県では、神奈川県、千葉県、埼玉県の空室率は上昇傾向であるに対して、東京23区や市部の空室率は2年ほど前から緩やかに下っていることがわかります。
空室率が上がっている原因がさまざま考えられますが、その一つとして、「需要供給のバランスが合っていない」ことが考えられます。日本の人口は2010年をピークに減少期に入っており、家を借りたい人の数よりも賃貸物件の数が多くなっている状況にあります。
にもかかわらず、なぜ新設賃貸物件が増えているのでしょうか?
最大の要因は「相続税の節税対策」です。 2015年1月から基礎控除額が4割引き下げられたため、課税対象者が改正前よりも1.5〜2倍に増えたといわれています。
地主にとっては不動産投資をすることで節税対策になるため、アパートなどの賃貸物件の建設が急増しているのです。 結果、都市部のみならず地方においても賃貸物件の増加が要因となって空室率が上昇傾向にあるのです。
空室対策の基本として、以下の3つが挙げられます。
(1) 設備を充実させて、すぐ入居が付くようにする
(2) 集客力の高い賃貸管理会社に変更する
(3) 入居したくなるような魅力的なサービスをつける
それぞれ解説していきましょう。
賃貸物件を借りる際に、家賃仲介手数料、敷金、礼金、管理費、その他鍵交換代、保証料などの費用を合わせると、初期費用として家賃の3〜6カ月分がかかるといわれています。
さらに、家具や家電なども新しく購入するとなるとかなり大きな出費になるでしょう。
そこで、家具と家電付きにすることで、入居者はその分の出費を節約することができて空室期間が短く済む可能性が高まります。
ただ、ここで注意すべきなのは、ターゲットに合った内装にすることです。特に色合いは重要です。赤など個性が強い色を選ぶより、ベージュや黒などオーソドックスな色でコーディネートしましょう。
現在、PCやスマホを使って部屋探しをしている人は8割を超えているそうです。
最近は部屋の雰囲気を動画で紹介するサイトも増えてきて、建物の外観写真から、部屋の中の写真を数多く掲載するのは当たり前になってきました。
実は、管理会社によって入居者付けのスキルは大きく異なります。
一般的に、不動産投資会社が管理する場合、もともと空室になりにくい物件を選定しているため、空室で困るようなケースは比較的少ないといえます。
しかし、仲介会社から購入した場合、多くは自身で賃貸管理会社を探す必要があるため、客付けが強い賃貸管理会社と出会えないと空室で悩まれることになります。
なかなか客付けができない管理会社であれば、切り替えを検討しましょう。
空室の期間が長くなると、「家賃を下げた方がいいのでは?」と考える投資家は多いものです。
しかし、一度下げた家賃を上げるのは非常に難しいといえます。
ですから、家賃を下げるのではなく、礼金をゼロにする、1カ月分の賃料をサービスする(フリーレント)など、入居者にとって嬉しいサービスをつけてみるのがよいでしょう。
中長期的に考えると、家賃を下げるよりも収益的には減損が少なく済みます。
逆にいうと、礼金ゼロ、フリーレントをすれば、場合によっては相場より家賃が高くても入居がつくこともあるかもしれません。