不動産投資の物件を探すにあたって、「どこのエリアで買うべきか?」と悩む人は多いものです。ここでは都市やエリア選びにおいて押さえておきたい基本的な考え方を2つ紹介します。
日本、海外も含めて好ましい投資エリアを挙げるなら、やはり賃貸需要があるエリアといえるでしょう。
しかし、これは必ずしも「人気」であるかどうかは関係なく、むしろそのエリアの稼働率に着目すべきです。たとえば、地方の知名度が低いエリアでも稼働率が高くて空室が少ないところがあります。調べていくと、物件の近くに大学があって学生の需要がある、工業団地があって従業員の大多数が借りているなど、稼働率の高い理由があります。
ただし注意すべきは、一つの工場、一つの大学など1カ所に賃貸ニーズを依存しているケースです。たとえば、淵野辺にある青山学院大学が一部を残して移転したことで、近隣の単身者用マンションやアパートの入居率が下がり、そのエリアに物件を所有している投資家は大ダメージを受けました。また、シャープの亀山工場も、一度は関連会社まで含めるとかなりの居住人口が増えたものの、その後シャープが撤退したことにより、乱立したアパートやマンションは空室だらけになりました。
このような例からもわかるように、単一の工場や大学の需要に頼った経営は危険なのです。
一般的に、大半の投資家はエリアを検討するにあたって、次の条件を選択します。
・自分の住まい、通勤圏から近いエリア
・自分や配偶者の出身地など地縁のあるエリア
・仕事で居住していた、仕事で頻繁に出向くなど土地勘のあるエリア
不動産投資は、投資といってもエリアに根差したビジネスです。「行ったこともない遠い知らない街・駅の物件なんて怖くて買えない」と不安を抱くのも当然のことでしょう。しかし、そういう方がいざ物件を探し始めると、自分が求めるエリア周辺に条件の合う物件がない、という壁に直面します。たとえば、生まれも育ちも東京の人の場合、都内だけでは物件が見つからず、じわじわと範囲を広げて千葉・埼玉・神奈川へ、さらには栃木・茨城・群馬などの関東圏、より遠方の地域へと対象エリアを広げていくことが多いといえます。
ここで、ぜひ考えてみてください。
「何かトラブルがあったときにすぐに駆けつけられるよう、自宅や勤務地の近くの物件が欲しい」という方は多くいらっしゃいますが、実際にオーナーが現地に行ったとして、はたして何ができるのでしょうか?
たとえば、水道管が破裂した、家賃が滞納されている……こんな状況に陥ったとしても、一般的には自力で解決することは非常に困難です。実際には管理会社や水道会社が対応するため、アパート経営オーナー自身が交通機関を使って現地に足を運ぶ必要はまったくないのです。
ここで強調しておきたいことは、「不動産投資・マンション経営はさまざまな関係者と協力しながら行うものであり、オーナー1人の力だけで解決する必要はない。したがって、収益物件購入後の管理を懸念して、物件情報の収集、立地選びの選択肢を狭めてはいけない」ということなのです。エリア選びはもちろん重要ではありますが、それに捕らわれすぎることなく、入居需要、収益性・利回り、空室率のデータ、融資条件など加味して、パートナーとなる不動産会社と可能性を探っていきましょう。