私は上場企業のサラリーマンで安定的な給料があってという立場からの不動産投資ではなく、小さな会社の経営者で、事業の一環としての投資でした。
ただし、一流企業や公務員などと違って銀行の信用力は弱いので、大金は融資してもらえないだろうということで、少ない予算の中でどうするかと考えたときに、「収益性の高い物件」を狙うという結論に落ち着きました。
となると、やはり地方の物件となります。
最初に買ったアパートは利回り 24%でした。高利回りですが、実際にはそれを高稼働させなければ、絵に描いた餅になってしまいます。
そうした、ある意味で追い詰められた、夏休みの終わりに溜まった宿題をやりこなす中学生と同じ背水の陣でやりましたから、何事にも本当に良い勉強をさせていただきました。管理会社とのお付き合いも同じです。
東京在住の私でしたが、不動産投資の対象は都心ではなく、一貫して利回りの高い栃木県、茨城県、千葉県などのアパート、マンションです。
築年数の古い物件が多く、近隣の平均的な入居率が 6 割といった地域が多い中にあって、私の場合は常時 95%の入居率をキープしています。
この要因は、地元の管理会社との「良い関係」がもたらしたものだと考えています。
最初のころこそ信頼関係を築くために頻繁に顔を出して、直接コミュニケーションを取りましたが、やがてすべて電話とメールで意思が通じるようになりました。遠隔自動操縦と言っては言葉がすぎましょうが、そうした仕組みを作り上げたと思います。
2014 年の 4 月からアメリカ・カリフォルニア州に移住したため、東京ではなくアメリカとなったらどうだろうかと不安はありましたが、実際には杞憂に終わりました。
渡米以後、10 部屋以上のリフォームをしましたが、電話とメールだけで、すべて納得のいく仕上がりで、入居に関してもまったく問題がありません。
それもこれも、投資物件のある地元の、良い管理会社を選んだからと言えると思います。
良い管理会社と信頼関係を結べば、たとえ身はアメリカにあろうとも順調に運営できる。これが不動産投資のメリットだろうと思います。
地元の管理会社、と言いましたが、誤解のないように一言付け加えておきます。結局は地元の管理会社に頼るのがベストだというのが、私の経験の結論なのですが、ただしこれは地方の物件に限ります。
例えば東京などでは、東武東上線の準急も止まらないようなマイナーな駅に投資物件がある場合に、その駅付近の管理会社、つまり地元の管理会社に頼むよりは、池袋のようなターミナル駅の管理会社を選んだほうがよいでしょう。客付けがまったく違います。飛び込み客もあります。
しかしそれは東京での話。地方を中心に投資物件を持つ場合には、地元が良いという意味です。
管理会社の選定は、10 年、20 年と長い期間にわたって投資物件の運営に関係しますから、大変重要です。その重要さを痛感させられ、管理会社を変更した私の体験を、続いてのコラムでお話しします。