一棟物件を購入した場合、空いている敷地を有効活用できるケースがあります。
ここでは、その一つとして、「駐車場経営」について解説しましょう。
所有する土地で駐車場経営を行う場合、大きく2つの方法があります。
1つ目は、「月極駐車場」です。
月極駐車場には、業者に募集・管理のみを委託する「管理委託型」と、業者に整備した駐車場全てを一括して貸し業者が一般の利用者へ転貸する「一括借上型」があります。
2つ目は、「コインパーキング」です。
コインパーキングには、業者に土地を貸すだけの「土地賃貸型」と、自身で駐車場を整備し管理・運営を業者に委託する「自己経営型」があります。
コインパーキングに必要なのは、精算機とフラップ(※)のパーキングシステムです。
購入する場合は精算機がおよそ100万円、フラップが1台およそ20万円なので、5〜6台でおよそ300万円の初期投資で駐車場経営が可能です。
※駐車部分に機器が設置されるシステム。車を定位置に駐車するとセンサーでロックされ、支払いを済ませると車を出せるようになる。小さなスペースを活用できることがメリット。
① 初期費用があまりかからない
コインパーキングや立体駐車場はそれなりに初期投資が必要ですが、平面駐車場の場合、初期投資ゼロということも可能です。敷地内に空いている駐車場があるのなら、「月極駐車場あります」などと看板をつくって入口につけておくだけで、借り手が見つかる可能性もあります。
② 立地が悪くても勝負できる
駐車場の場合、駅から距離のある場所でも、高いニーズが見込めます。むしろ、都内や駅近であるほど、車ではなく電車で移動する人が多いため、駐車場ニーズは高くありません。地方であればあるほど、駐車場を借りるパイは増えるため、投資物件のエリアに応じて戦略を組み立てる必要があります。
③ 転用の幅が広い
駐車場は借地借家法の適用対象外のため、事前の通告だけで利用者を立ち退かせることができます。つまり、売却や相続税における物納など、他の活用法への転換も容易なのです。ですから、駐車場経営は、多様な選択肢を残したまま、収入を得ることにつながるのです。
① 固定資産税は更地評価
駐車場は住宅用地ではないため、固定資産税や都市計画税の軽減がありません。東京都の場合、住宅用地のほぼ6倍になります。
② 所得税負担が大きい
平面駐車場の場合、減価償却費がありません。立体駐車場の場合も、通常の建物と比べれば減価償却費は少ないものです。「支出を伴わない必要経費」が少ないので、所得税が課税される部分もそれだけ大きくなります。
③ 法律上の制限がある場合も
自走式駐車場や、多段式駐車場は建築基準法の適用を受けるため、住宅地での設置が認められない可能性もあります。