最近、注目を集めている不動産投資の手法の一つに「賃貸併用住宅」があります。「低金利で買える!」「属性が悪くても買える!」などのメリットはあるものの、はたして実際はどうなのでしょうか?
ここでは「賃貸併用住宅」の意外な落とし穴について解説します。
賃貸併用住宅とは、オーナーが住む居住スペースと人に貸す賃貸スペースが共存している物件を指します。たとえば、1階が賃貸スペースで3、4戸のワンルームがあり、2階がオーナー用の居住スペースになっているというイメージです。
なぜ賃貸併用住宅が注目を集めているかというと、居住スペースが物件全体の51%以上あれば、住宅ローンが使えるからです。住宅ローンはアパートローンよりも低金利ですので、それが大きなメリットとして謳われているのです。
また、もともと不動産投資に関心がなく、普通に家を買おうとする層にも「せっかく買うなら、毎月の家賃収入がある賃貸併用住宅のほうがいいですよ」とアピールできます。実際、賃貸スペースが満室稼働すれば、家賃収入で住宅ローン返済をまかなえるでしょう。
しかし、賃貸併用住宅にもデメリットは存在するのです。
賃貸併用住宅の場合、1階が賃貸スペース、2階がオーナーの居住スペースという割り振りが多いですが、入居者との距離が近いため、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。たとえば、せっかくマイホームを購入したものの、1階に入居者がいるので、子どもを自由に遊ばせておけないというケースです。または、入居者から直接クレームが届くということもあるでしょう。もし入居者に問題があった場合、自分だけではなく家族にも被害が及ぶ可能性もあります。ですから、入居者の審査はそれなりに厳しく行う必要があります。
また、入居者とのコミュニケーションを面倒だと思う人もいるでしょう。通常であれば「ご近所の○○さん」で済むところも、オーナーと入居者という関係はなかなか崩せないので、どうしても「お客さま」という接し方になりがちです。
不動産投資を行う場合、どんな物件を選んでも空室リスクはゼロではありません。しかし、賃貸併用住宅の場合、特殊な事情があります。それは、「入居者がオーナーと同じ建物であることを嫌がる」というケースです。デメリット①の逆で、入居者が「オーナーがいるから」と気をつかってしまうのです。
賃貸併用住宅は、建物の間取りが特殊です。また、その物件を住宅にしなければならないため、普通のアパート・マンションを狙う投資家よりも買い手の数が少ないのです。もちろん、立地がよければ買い手が見つかるはずですが、そうなると高価格帯になり、購入が難しくなります。
注目を集める賃貸併用住宅ですが、見逃せないデメリットもあります。
メリットとデメリットを勘案した上で判断したいものです。