「サラリーマン投資家が参入しすぎて利回りが低下している」「人口減少リスクが大きい」などの理由から、国内ではなく海外不動産投資に目を向ける業者や投資家が増えているとされています。しかし、海外も国内も同じように考えていいのでしょうか?
ここでは海外不動産投資のメリットとリスクを解説します。
日本国内と比較すると、人口が増加傾向にあるアジア諸国は、利回りが高い傾向があります。特にGDPが右肩上がりに伸びている国及び地域は、家賃もさらに上がる見込みがあります。また、売却益(キャピタルゲイン)という意味でも、将来の値上がりを期待できるので、日本国内よりも出口戦略を取りやすいといえるでしょう。
一方、日本国内は、大幅な人口増加や経済成長は望めないため、利回りの大幅な上昇もまた期待できません。また売却益という意味でも、今後不動産相場が大幅に上昇する時期の見通しが不確定のため、海外の一部と比較すると見劣りするといえるでしょう。
法人税・所得税に関して言うと、日本は世界の中でも税率が高いとされ、海外で納税すれば節税メリットが生かせることもあります。また、アメリカのように不動産の建物評価率が高い国では、減価償却を認められる金額が大きく、多くの金額を経費計上できます。
不動産投資のメリットは、何と言っても「レバレッジ」(少額の自己資金でも、融資によって大きなお金を動かせる)を利かせられることです。
しかし、海外不動産投資の場合は海外の金融機関を使うことになりますが、融資を受けられる金融機関がかなり絞られます。またあったとしてもさまざまな融資制限があり、自己資本比率が30%程度必要であったり、融資額も物件の50~60%程度までしか受けられないケースが大半です。さらに、海外の金融機関は国内に比べて金利が格段に高い傾向があります。
特にアジア新興国においては、法律や税制が突然変わることもあります。 最悪の場合、不動産所有の規制が変わり、禁止・財産没収になる可能性も否定できません。
日本国内の不動産投資情報であれば、書籍やセミナー、インターネットなどの手段で手にすることができます。また、不動産会社も多く比較検討も容易であり、地方にある物件も、直接確認することは難しくないでしょう。
しかし、海外の場合は情報を手に入れることはおろか、「本当に物件が存在するのか?」というレベルの確認も行わなければなりません。新興国の新築予定の物件を購入したら、「現地には何もなかった」という例もあるほどです。
もちろん、ポートフォリオを組むうえで、「海外不動産」を持つことは選択肢として間違いないでしょう。しかしながら、リスクが高く初心者向けではないため、十分なリサーチと慎重な判断が求められます。