海のものとも、山のものとも。

2017年 06月07日・成毛眞 投資コラム 第17回

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  • 人付き合いはキャッチ・アンド・リリース

    私は社交的ではありません。あちこちに出かけるよりはできるだけ家にいたいと考えていますし、人見知りが激しいので、出会いを求めて外出するということもありません。家を出るのは、仕事があるときかうっかり約束をしてしまったときくらいです。

    ですから、さほど人脈が広いわけではないですし、積極的に広げてきたつもりもありません。それなのに、なぜか頻繁に「成毛さんは人脈が広いですね」と言われます。最初はお世辞のつもりで言っているのかと思っていたのですが、あまりに言われるので、あるとき発言主に「人脈が広いとは、どういうことなのか」と聞いてみたところ、「面白い人をたくさん知っている」と言われました。なるほど、それなら合点がいきます。

  • 出かけるときは面白い人を誘う

  • 私は出不精ですが好奇心は旺盛なので、面白い人が好きです。面白い本が好きで、面白いゲームが好きなのと同じように、面白い人が好きです。面白い人とはどんな人なのかは、なかなか説明が難しい。面白い本が多岐にわたるのと同じで、面白い人にもいろいろなタイプがいるからです。話が上手な人、話題が豊富な人、よく笑う人、なぜか面白いと思わせる力がある人、様々です。共通点は、一緒にいると楽しい時間を過ごせる人、ということになります。どうせなら、不機嫌よりご機嫌に。そういうわけで、私が食事に誰かを誘うことがあるとすれば、面白い人を誘います。

    そうしているうちに、ある面白い人と、別の面白い人を引き合わせてみよう思うこともあります。思ったら、即、実行。珍しく自ら、面白い人とまた別の面白い人を食事に誘い、1次会、2次会、3次会と楽しみます。しょっちゅう会っているなら1次会だけでいいでしょうが、出不精な私は、出かけた以上はとことん外出を堪能したいのです。

    すると、そうやって引き合わせた面白い人と別の面白い人は、その後、私が同席してもしなくても、食事をしたり、どこかへ出かけていったりもします。「私をのけ者にしたな!」などとは思いません。なにせ、出不精なもので。それに、人付き合いはキャッチ・アンド・リリース。来るものは拒まず、去るものは追わず。固執しないことだと思います。もっとも私の場合、固執できないタイプの人間でもあるのですが。

  • 気付けば周囲は若い人ばかり

  • そのうち、新たに面白いなと思う人と出会うと、一度食事をしたことのある面白い人たちとは没交渉になることもあります。でも、彼らはなぜか「成毛さんが引き合わせてくれたんですよ」とあちこちで言ってくれます。私にとっては、いつまでもその人たちばかりと一緒に食事をするよりも、そうやって「この人とこの人は相性が良さそうだな」と思った人たちが友好を深め、何かにつけて私のことを思い出してくれるほうがありがたいことです。

    その方が、新たに面白い人と出かけるチャンスも増えます。念のため付け加えますと、私は人を引き合わせよう、感謝されようと思ってこうしているわけではありません。自分が楽しい時間を過ごしたいと思うばかりに、いい化学反応をしそうな組み合わせを考えて、実行しているのです。

    こうしていると、知り合いになる面白い人たちの平均年齢はどんどん下がってきます。働き盛りの人たちこそ好奇心旺盛だからです。まさに類が友を呼んでいるのです。いまどきの若くて面白いビジネスマンたちは、唐突に起業することもあります。そんなときには、会社設立時に少しでも出資させてもらいます。運がよければその投資は何百倍にもなって返ってくるのです。こうして、まさにいいことづくし。次に外出するときには、誰と誰を誘おうか、楽しみです。

成毛 眞
(なるけ まこと)

HONZ代表。元マイクロソフト社長。インスパイア取締役ファウンダー。スルガ銀行社外取締役。早稲田大学ビジネススクール客員教授。週刊新潮、週刊東洋経済、月刊クーリエ・ジャポン日経BPネットにエッセイ連載中。産経新聞、週刊朝日などに書評定期寄稿中。代表的著書に『面白い本』(岩波新書)『大人げない大人になれ』(新潮文庫)など多数。