好調な不動産業界のニュースを聞くと「投資用の不動産を購入しようかな?」と新規物件の購入を考える方も多いと思います。
国土交通省が2015年11月に発表した不動産価格のマンション指数(全国)は、
対前年同月比で8.1%増、33か月連続の上昇を記録しました。
新規の不動産投資を検討されている方も多いと思いますが、不動産のオーナーになる際に考えなければいけないのが確定申告です。
計算が複雑な確定申告ですが、安定収益を得るためにしっかりと運用プランを組んでおく必要があります。
今回は、「収益不動産は購入したいけれど、計算は面倒」という方のために、確定申告の際に不動産オーナーがチェックすべきポイントをご紹介します。
確定申告の際に、不動産オーナーがやらなければいけないのが「不動産所得」の申告です。不動産所得とは、主に下記のような所得を言います。
・土地や建物などの不動産の貸付け
・地上権など不動産の上に存する権利の設定、および貸付け
不動産所得による課税対象は「総収入額−必要経費」という計算式で求められます。
「総収入」は不動産所得だけでなく、給与などを合わせた「総収入額」が課税対象になります。税金を少しでも減らすために、課税対象額を正確に把握しておくようにしましょう。
総収入額から不動産の「必要経費」を差し引くことで、課税対象額を減らすことができます。「必要経費」に該当するものは下記の通りです。
・租税公課(固定資産税、都市計画税など)
・損害保険料(火災保険、地震保険)
・減価償却費(計算式に基づき建築年数に応じた費用を控除)
・修繕費
(原則は現状回復費用のみ。ペンキの塗り替え、障子の張り替え、エレベーターの修繕など)
・借入金、利息
・管理費
・交通費
・通信費
・新聞、図書費
・接待交際費
・消耗品(確定申告の際に使用するパソコン費用)
・税理士への依頼費
税金や保険料のほか、不動産修繕費用や設備維持費なども計上できるため、きちんとした運営プランを立てれば大幅な節税が可能になります。
そればかりか、大規模修繕工事などで赤字計上だった場合には、課税対象額をゼロにすることも可能です。
維持費がかかる設備であっても、所得税対策役立つ場合もあるので、購入前にきちんと収益が出せる不動産かどうかチェックしておきましょう。
その後「総収入額」から「必要経費」を差し引いた額に、価格別に定められた税率を掛けて所得税額が求められます。
課税対象額が多い場合には、所得税額から控除額が差し引かれた額が実際の納税額になります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
900万円以下 | 23% | 63.6万円 |
1,800万円以下 | 33% | 153.6万円 |
4,000万円以下 | 40% | 279.6万円 |
4,000万円超 | 45% | 479.6万円 |
日本人の平均年収414万円の人に、年間200万円の不動産所得があった場合のケースを例に、実際の納税額を見てみましょう。
参考:国税庁調べ
日本人の平均年収
(http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2014/minkan/)
次に、日本人の平均年収414万円で年間100万円の不動産所得がある人が、300万円のエレベーターを交換し、工事に50万円を費やした場合の納税額を見てみます。次に、日本人の平均年収414万円で年間100万円の不動産所得がある人が、300万円のエレベーターを交換し、工事に50万円を費やした場合の納税額を見てみます。
必要経費として不動産のエレベーターの修繕工事費用を計上すると、下の計算により37万円の所得税が節約できます。
不動産取引が活発な現在、投資不動産の購入を検討されている方も多いと思いますが、投資を成功させるためには、きちんとした運用プランが必要不可欠です。
「収益不動産は購入したいけれど、計算は面倒」と頭を抱えていらっしゃる方は、今回ご紹介させていただいた方法を参考に必要経費を計算されてみてはいかがでしょうか?