不動産投資において「利回り」の高さは、投資の成否を予測するうえで非常に重要な指標の一つです。しかし、あまりに高利回りを求めすぎると、購入後に「こんなはずじゃなかった」ということになりかねません。ここでは、高利回り物件に潜むリスクについて解説していきましょう。
不動産投資家にとって、利回りは大きな指標です。「利回り10%以上の物件が欲しい」という希望を持つ投資家も珍しくありません。
利回りが高ければ、多少の難点は目をつぶる……そんな方もいるでしょうが、利回りだけに固執するのは非常にリスキーです。
たとえば地方の区分物件では、100万円を切るぐらいの安さで、表面利回りが30%くらい出ることも珍しくありません。賃貸需要が極めて低いエリアにある築古アパート、バブル期につくられたリゾートマンションといったイメージです。
ところが、蓋を開けてみると、家賃よりも管理費・修繕費積立費などのほうが明らかに高くなり、それらを考慮すると毎月の収支がマイナスになってしまうケースもあります。だからこそ、「タダに等しい」値段で売りに出されているわけです。
また、スキー場や温泉地にある高利回りのリゾートマンションの場合、温泉の権利や管理費が異常に高く、毎月5万円以上の出費がかかる物件が大半です。こうした物件は、たとえ別荘として売却しようとしても難しいもの。なぜなら買主からすれば、それだけ毎月高額の維持費がかかるなら、旅館に泊まったほうがコスト的にも設備的にもよほど満足できるからです。
利回りに目がいってしまうと、どうしてもランニングコストを軽視しがちです。特に区分マンションの場合は、それを計算に入れておかなければ、購入後に本当の赤字物件になってしまいます。
実は、悪徳な不動産会社の場合、顧客に提示する利回りを作為的に操作しているケースがあります。
たとえば、地主向けの大手アパートメーカーに多い例なのですが、30年経っても家賃がまったく下落しない収支シミュレーションになっていることがあります。
新築物件の家賃は「新築プレミアム」といって、相場家賃より高く設定されるのが一般的です。したがって、入居者が入れ替われば、新築時の家賃は下がっていくものです。それ以前に、30年間同じ賃料で貸し出せるのはまったくもって現実的ではありません。
また新築の場合、そもそもの家賃設定を高くして表面利回りを高く見せているケースもあります。中古であればこれまでの賃料でおおよそは判断できますが、当然ながら誰も入居したことがないので高く言えるのです。
このように、高利回り物件といっても適切な計算方法で算出されていない場合もあります。ですので、一度自分で計算して、はたしてその利回りが妥当なのか判断することが大切といえるでしょう。