不動産投資は事前のプラン作りが重要です。長期的な展望のもとに、詳細なシミュレーションを行いましょう。現実的な資金計画や収支計画を立てることで、リスクに強い不動産経営が行えます。
金融機関は融資した元本や利息を確実に返済してもらわなければいけません。その判断材料ともなるのが収支計画書や資金計画です。
必ずしもすべての金融機関が提出を求めるものではありませんが、これらの計画書は、自分の不動産経営をシミュレーションしてみる絶好の機会になります。
起業する際には、ほとんどの場合、事前にビジネスプランを立てるのが普通です。長期的な視点で経営を行う必要がある不動産賃貸業は、なおさら事前のシミュレーションが重要になります。
事実、計画も立てずに、自分の思い入れだけで、不動産投資に足を踏み入れて、思わぬリスクを抱えた投資家も少なくありません。
特に収支に関しては、将来の見通しを含めて、物件を購入する前から、あらかじめ考えておく必要があります。
事業にどれだけの額を投資して、税金や経費がどれだけかかり、利益がどれだけになるのか。年数を経る中で、必要経費はどれだけ増えて、収支はどのように変わっていくか。
このように、収入や支出を慎重かつ的確に想定し、将来のキャッシュフローを予測する収支計画の作成は非常に重要です。
もし、事前にプランを立ててみて、キャッシュフローがうまく回らなければ、購入は控えたほうがよいでしょう。このように、将来のシミュレーションは、リスク回避の機会としても有効な手段となります。
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収支計画を立てるうえで重要になるのが、各項目の設定の仕方です。これにより、将来の収支も大きく変わってきます。
特に収入面で大きなポイントになるのが「賃料」や「入居率」の設定です。同エリアの同じような条件の物件などを参考にし、さらに建物の経年劣化を踏まえて設定します。
支出面に関しては、固定資産税、都市計画税などの税金面、火災保険や地震保険などの保険料、建物の修繕費、減価償却費、ローンの支払利息、共用部分の水道光熱費、入居者募集に関する広告宣伝費、管理会社に支払う管理費、清掃代など、すべての必要経費をあらかじめ想定して考える必要があります。
また、キャッシュフローを最も圧迫するのはローンの返済額ですから、金利の種類や返済方法などをチェックしたうえで、返済原資、元金返済額、手元残金なども明示した返済計画を立ててみることも重要です。
これらのプランを立てるうえで大事なのは、あまり高望みしないこと。不動産投資は中長期にわたって行う投資です。実際、すべてが最初の想定通りに進むとは限りません。
金利情勢を把握し、不動産投資にまつわるさまざまなリスクを十分に考え合わせたうえで、事業を行うべきものであるということを改めて強調しておきたいと思います。
ある程度厳しめの設定にしても、十分にキャッシュフローが回る、収入が支出を上回るようでなければ、安心して経営を行うことなどできません。
金融機関から融資を受けることも難しいでしょう。
同時に、その都度、計画は見直しを図ることも重要です。景気動向や税制、エリアの再開発や交通網の新設、大学キャンパスの移転など、新しい変化や動きに応じて、賃料設定なども見直します。
ビジネスの世界では、計画を立て、実行し、確認し、また実行するというPDCA サイクルを的確に回すことが重要と言われていますが、不動産投資も、確かな数値に基づいた慎重かつ的確な検証と実行が不可欠なのです。