年間収益は146万円の差!投資用不動産は低層住居専用地域より平凡な住居地域に買うべき4つの理由

2015年12月21日・プレミアムバリューバンク

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  • アメリカシカゴに本社を置く総合不動産サービス大手、JLLグループの投資分析レポートによると、日本の2015年第3四半期の不動産投資額は、前年同期比11%増の89億ドル、円建てでは30%増の1兆900億円と発表があり、日本の不動産市場の活性化が改めて浮き彫りとなりました。(産経新聞 2015年10月25日付)

    現在、新規の不動産投資をお考えの方も多いと思いますが、まず考えるのが不動産を購入する場所ではないでしょうか?

    どこに物件を購入するかは非常に悩ましいポイントですが、エリアを選ぶ際に、憧れやブランドイメージを基準に選ぶと、後で後悔することになるかもしれません。
    今回は、成城や田園調布などといった憧れの高級住宅街に多く設定されている
    「低層住居専用地域」と、一般的な住宅街に設定されることの多い「住居地域」を徹底比較し、法律の観点から投資効率のいい物件の見極め方を紹介します。

  • 都市計画法から見る比較

  • 土地を購入したからといって、必ずしも自由に建物が建てられる訳ではありません。さまざまな法律や規則によって制限されています。

    その中の一つが、どのエリアで、どのような街作りをするかを決める「都市計画法」という法律です、下記の5種類のエリアに分けられます。

  • 都市計画法の区域区分

  • 都市計画区域 線引き区域 市街化区域 すでに市街地を形成している区域および、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
    市街化調整区域 市街化を抑制する区域
    都市計画区域外 非線引き区域 市街化区域と市街化調整区域に区分されていない区域
    準都市計画区域 相当数の建築物等の建築や造成が行われている、または将来的に見込まれる区域
    都市計画区域外 都市計画法の規制を受けない地域
  • 住宅や店舗などが立ち並び、人が生活しているエリアの多くは「市街化区域」に該当し、「用途地域」を定めなければならないと定められています。

    「用途地域」とは、土地の利用目的を決めたもので、目的別に、住居系、商業系、工業系の3つの用途地域に分けられています。

  • 都市計画法の用途地域

  • 住居系 第1種低層住居専用地域 すでに市街地を形成している区域および、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
    第2種低層住居専用地域 主として低層住居に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域
    第1種中高層住居専用地域 中高層住居に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域
    第2種中高層住居専用地域 主として中高層住居に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域
    第1種住居地域 住居の環境を保護するために定める地域
    第2種住居地域 主として住居の環境を保護するために定める地域
    第2種低層住居専用地域 道路の沿道と地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護する地域
    商業系 近隣商業地域 近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする、商業その他の業務の利便を促進するために定める地域
    商業地域 主として商業その他の業務の利便を促進するために定める地域
    工業系 準工業地域 主として環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便を増進するために定める地域
    工業地域 主として工業の利便を増進するために定める地域
    工業専用地域 工業の利便を増進するために定める地域
  • 参考:国土交通省HP、役に立つFP情報ドットコム

  • 用途地域別に見る土地利用の制限の違い

  • この用途地域には必ず「建ぺい率」、「容積率」、低層住居専用地域には「高さ制限」が定められ、土地の利用が大きく制限されています。

  • 低層住居専用地域と住居地域 高さ制限の比較

  • 国土交通省HPを元に編集部が作成

  • 都市計画法で「低層住居専用地域」に定められたエリアは、建築物の高さが最大10m、もしくは12mまでという高さ制限が定められ、これによって良好な日当たりを実現しています。

    原則、高さ制限を超える建築物は建てられない低層住居専用地域に対し、住居地域は都市計画法による高さ制限は適用されません。

    もし、住居地域に高さ制限を設けたい場合には、建築基準法の道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線、そして日影規制などによる高さ制限が、各地域の事情に応じて課されます。

  • 低層住居専用地域と住居地域 建ぺい率の比較

  • 「建ぺい率」とは、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合のことです。日照の確保や建築物の延焼防止などの目的で、土地に余裕を持たせて建築することが決められています。

    低層住居専用地域は、原則として土地面積の最大10分の6、住居地域では最大10分の8が建ぺい率が限度として定められ、緩和の特例(※)に当てはまる場合以外は、土地面積×建ぺい率の範囲内の面積で建築物の建築が認められます。

    (※特定行政庁の定める角地、防火地域内にある耐火建築物には建ぺい率が各10分の1、両方に該当する場合には10分の2が加算されます。)

  • 低層住居地域と住居地域の容積率の比較

  • 「容積率」とは、建物の延べ面積の敷地面積に対する割合のことです。建築物に適用される容積率は、前面道路が建築物しているのが12m未満の場合と、それ以上の場合で2つの計算方法があります。

  • 前面道路が12m未満の場合の容積率

  • 国土交通省HPを元に編集部が作成

  • 接道面積が12m未満の場合には、前面道路の建物への接道部分の距離と10分の4を掛けた数字が容積率になります

    例えば、前面道路が10mの場合だと、10×10分の4=400%となり、敷地面積が200㎡の場合には、床面積800㎡(※)の建築物まで建設することができます。
    (※床面積にはマンションの階段やエレベーターなどの共用部分は含まれません)
    一方、前面道路が12m以上の場合には、法律で定められた容積率が適用されます。容積率は用途地域に応じて、低層住居地域は最大200%、住居地域の場合には最大500%と決められています。

    「容積率」は同じ用途地域であっても、エリアによって違いがあるので、不動産購入時に忘れずにチェックするようにしましょう。

  • 低層住居地域と住居地域の利回りの違いは?

  • 都市計画法や建築基準法によって定められた建築制限が、利回りに与える影響はどの程度なのでしょうか。低層住居地域と住居地域にある実際の物件を例に、収益を比較してみましょう。

  • 【販売価格1億6300万円】東京の低層住居専用地域にある物件

  • ※写真はイメージで実際の物件とは異なります。

  • 物件基本情報
    価格(税込) 1億6,300万円 利回り 6.00%
    建物面積 205m2 土地面積 220m2
    総戸数 10戸 間取り 1R
    建ぺい率 50% 容積率 100%
    都市計画区域 市街化区域 用途地域 第1種低層
  • 参考: SBI収益物件ガイド

  • 東京の高級住宅地にある販売価格1億6300万円の物件です。第1種低層住居専用地域にある1ルームで、全10戸。良好な日当たりと生活しやすい環境が備わった魅力的な物件です。

    もしこの物件を購入した場合、1億6300万円×0.06(利回り6%)=978万円(年間収益)となり、最大978万円の収入を1年間で手にすることができます。

  • 【販売価格1億3000万円】関西圏の住居地域にある物件

  • ※写真はイメージで実際の物件とは異なります。

  • 物件基本情報
    価格(税込) 1億3,000万円 利回り 8.65%
    建物面積 583m2 土地面積 245m2
    総戸数 13戸 間取り 1DK
    建ぺい率 80% 容積率 200%
    都市計画区域 市街化区域 用途地域 第1種住居
  • 参考:プレミアムバリューバンクHP

  • 続いて紹介させていただくのが、関西圏の第1種住居地域にある販売価格1億3000万円の物件です。部屋数は全13戸、利回りは8.65%です。

    周辺はマンションなどが立ち並ぶ落ち着いた住宅街で、駅から徒歩3分というアクセスの良さも魅力です。

    もしこの物件を購入した場合、1億3000万円×0.0865(利回り6%)=1124万5000円(年間収益)となり、最大1124万5000円の収入を1年間で手にすることができます。

  • 投資不動産を購入するなら普通の住宅地がおすすめ

  • 低層住居専用地域と住居地域にある物件の年間収益は下記のようになります。

    ・低層住居専用地域の物件
     価格:1億6300万円 年間収益:978万円
    ・住居地域の物件
     価格:1億3000万円 年間収益:1124万5000円
    住居地域にある物件は、低層住居専用地域の物件と比較して販売価格が3300万円も安く設定されているにも関わらず、年間収益は146万5000円ほど多く得られることがわかります。

    ブランドイメージのある高級住宅街に設定されていることが多い、低層住居専用地域。住みたい人は後を絶えないかもしれませんが、そのニーズが必ずしも収益に結びつくわけではないようです。

    もし、投資用の不動産の購入を検討されているようでしたら、街のイメージだけではなく、法律の観点まで視野を広げれば、これまでとは違った投資の必勝法が見つかるかもしれません。