不動産投資をお考えの方が、最も重要視しているものは「収益」と言っても過言ではないでしょう。
しかし、「出来る限り多くの収益を得たい」という思惑とは対照的に、周辺状況の変化により思わぬ苦戦を強いられるというケースがあります。
その代表例が「日照権」です。特に最近は再開発が盛んに行われており、日当たり良好で高利回りの不動産の隣に、ある日突然高層建築物が建ち収益が右肩下がり、当初目論んだプランでの運用が出来なくなるという事例も多く見られます。今回は、不動産投資が盛んな今、新規物件を購入しようと考えている方のために日照権を守るための方法を紹介します。これからの物件選びの参考にされてみてはいかがでしょうか。
高利回りを得るためには欠かせないと言っても過言ではない「日照権」ですが、物件の購入時に渡される重要事項説明書や契約書には記載されていません。
日照権は、特定の法律で規定されている場合はあまりなく、街づくりの方向性
を定めた「都市計画法」の区域指定や、建物の基準を定めた「建築基準法」の
日影規制や北側斜線制限によって守られています。
都市計画法や建築基準法に関する説明は、購入時に業者から説明を受けるので
、もし不安がある場合には確認してみると良いでしょう。
もし隣の空き地に高層ビルが建ち、洗濯物が全く乾かないような状態になってしまうことがわかったら、あなたはどうすれば良いのでしょうか?
一般的には裁判で、隣の高層ビルの建築許可を出した建築主事(市町村の課に置かれている)などを相手に許可の取り消し、もしくは不動産業者に損害賠償を求めるケースが一般的です。
「日照権」は法律的にもきちんと認められ、実際に裁判に勝った事例なども見られます。
しかし裁判を起こす場合には、あなただけではなく日照権を侵害される周辺住民と一緒に提起することが多く、さらには裁判は最大で3回行われるため、数年の時間が必要になり、手間などを考えると裁判に勝ったとしてもあまり効率的とは言えません。そのため物件選びの際には、隣に高層ビルが建ちにくい物件を選ぶ必要があります。
※写真はイメージです
あなたが狙いの物件を定めたら、必ず現地に足を運ぶようにしましょう。その際に物件の状態はもちろん、周辺エリアの状況についてもあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
周辺エリアに古い民家が集中的に立ち並んでいる場合や極端に道が狭い場合などは、将来的に再開発が行われ、高層マンションが立ち並ぶ可能性があります。ビルの日影は洗濯物などの日常生活を送る上ではもちろん、視覚的に圧迫されることから、敬遠する賃貸利用者もいらっしゃいます。周辺エリアの状況を見極めた上で、買うかどうかの最終判断を下しましょう。
購入しようとしている物件があるエリアの役所に行けば、日照権に関する情報が得られる場合があります。
日照権に大きな変更をもたらすような開発は、実際に高層ビルが建てられる何年も前から計画が存在している場合がほとんどです。
さらには行政主導の事業計画として行われ、そのための大規模な予算が組まれている場合もあるので、役所に行けば、物件周辺エリアの将来像をかなり具体的に見定めたうえで投資するかどうかを判断できます。物件以外の情報も積極的に調べるように心がけましょう。
周辺エリアに鉄道の新規敷設計画や新駅、大規模な道路工事などが行われる場合には周辺の開発状況にきちんと目を見張らなければなりません。
新規の鉄道などは、アクセスの著しい向上により利用者の増加や地価の上昇など、プラスの側面がありますが、その一方で、大規模な工事が行われることにより、高層ビルが立ち並び日当たりをはじめとする居住環境が変わってしまうというリスクもあります。
賃貸物件のご入居者は日当たりを重視される方が多く、どんなに利便性が高いエリアでも、日照条件が悪いと不利な条件での運用が強いられることになります。
不動産の購入後に後悔することがないように、物件以外の情報も注意するようにしましょう。
不動産取引が盛況な現在。新規の不動産投資をご検討の方も多いと思いますが、物件探しは順調に進んでいますか?
オリンピックの開催や外国人観光客の増加により、各地で再開発が盛んに行われていますが、周辺状況の変化により思わぬ苦戦を強いられるケースも見られます。
特に「日照権」は、権利としては認められているものの、一度周辺状況が変わってしまった場合には、なかなか元の状態に戻すのは難しいのが実情です。
もし、まだこれから物件を探されるようでしたら、今回ご紹介させていただいたポイントを物件選びの参考にされてみてはいかがでしょうか。