リフォームをするかリノベーションをするかの判断基準ですが、物件のもともとの仕様や傷み具合にもよりますが、通常は築 20 年以内であれば、リフォームにとどめるべきだと思います。
というのも、築 20 年程度であれば、水回りや設備も、まだ十分に使える状態である場合が多く、家賃も底まで下落していない可能性が高いので、お金をかけてリノベーションをしても、あまり家賃の上昇は見込めません。リノベーションを投資ととらえたときに、十分なリターンを得られない可能性が高いのです。
一方で、築 30 年以上経過していて、それまでにほとんどリフォームもされていなかったような物件は、広さに対しての家賃単価が安く設定されていることが多く、リノベーションにより家賃の上昇が見込めます。
また、リノベーションのメリットはほかにもあります。空室期間の短期化です。いくら家賃が安いと言っても、築 30 年以上経過した物件は水回りの汚れや傷みがひどく、特に毎日家事を行う女性には大変不人気です。一般的に賃貸住宅を決めるときに決定権を握っているのは女性の場合が多く、その観点から言っても、築古物件を原状回復程度に中途半端にきれいにしただけでは決め手に欠けます。
一方で、リノベーションを施した部屋の内装は新品に近い状態にも関わらず、家賃は新築ほどしないため競争力が増します。
実際に私の所有する物件でも、築 35 年にも関わらず、リノベーションを施した部屋は今の入居者が退去する前に、写真だけで次の入居者が決まる状態です。しかも、一度リノベーションを施すと少なくとも 10 年間は大規模なリフォームは必要なく、簡単なリフォームで部屋の魅力を保つことができます。
リノベーションをする際の投資金額の目安ですが、リノベーションを投資と考えたときの利回りを物件の利回りと比較します。
例えば、先ほどから例に挙げている築 35 年のケースではリノベーションにより 3 万円だった家賃が 5 万円に上がりました。年間にすると 2 万円× 12 ヵ月で 24 万円の収益アップです。このリノベーション費用が 90 万円かかりましたので、結果的にこのリノベーションへの投資に対する利回りは 26%となりました。
私がこの物件を取得した際の利回りが 21%でしたので、このリノベーションを施して物件自体の利回りも向上したことになります。
また、もう少し簡単な指標で言うと、リノベーション後の想定家賃の 18 カ月分以内にすることです。それ以上かけてしまうと投資資金の回収に時間がかかりすぎてしまうからです。
リノベーションは出口戦略、つまり売却時にもとても有効です。
今回の私のケースの場合、リノベーションにより物件自体の賃料収入が向上していますので、その分高い金額で売却できる可能性があります。また、買主にとってもリノベーションをしてある物件は、今後の出費が少ないため魅力的に映るはずです。