収益物件サイトで中古物件を見ていると、「オーナーチェンジ物件」という言葉を目にすることがあると思います。とはいえ、実は意味をきちんと理解できていない人も多いのではないでしょうか。
ここでは、オーナーチェンジ物件のメリット・デメリットについて紹介しましょう。
オーナーチェンジとは、入居者がついた状態で、物件を所有しているオーナーだけが変わることを指します。
新築もしくは中古の空室物件の場合、購入してから入居募集をかけるため、数カ月(早くても1〜2カ月)の時間を要します。しかし、オーナーチェンジ物件だと、すでに賃借人が入居しているので、新しいオーナーは物件を取得した瞬間から家賃を受け取る権利を手にできるわけです。
したがって、一般的に不動産投資でいわれるオーナーチェンジ物件は 、ポジティブな意味で使われます。
前述したように、入居者がいる状態での引き渡しになるため、契約した当月から家賃収入を得ることができます。また、家賃収入があることが明らかなので、金融機関との交渉もスムーズです。
加えて、同じ物件でもオーナーチェンジ物件のほうが割安になる傾向があります。空室で売られている物件は、実需向け、つまり投資用ではなく住居用に売られていることが珍しくありません。実需向けの場合、住宅ローンを使うことを前提にして考えているので、価格に対して投資用よりもシビアになりにくいもの。そのため、オーナーチェンジ物件は割安になりやすいのです。
オーナーチェンジ物件の場合、すでに入居者がいる状態なので、室内の状態を確認することができません。したがって、退去後に初めて室内を見てみたら想像以上に傷みが激しく、すぐに修繕が必要という可能性もあるのです。
また、そもそもの問題として気になるのは、「なぜ、入居が付いている物件を前オーナーは手放すのか?」ということです。相続税を支払わなければならない、事業の資金繰りが悪化したので現金が必要など、相当の理由があれば納得できます。しかし、ヒアリングしても理由が不明の場合、原因は「物件」にある可能性は否定できません。家賃を滞納しがちな入居者がいる、近隣の住民とのトラブル歴があるといったこともありえます。
ですので、「なぜ、物件を手放すのか?」「入居者に問題はないのか?」ということは、オーナーチェンジ物件を購入するうえで、必ず確認すべきポイントといえます。
また、これは悪質な不動産会社の例ですが、少しでも売れやすくするため、「つくられた満室」になっているオーナーチェンジ物件もあります。
どういうことかというと、不動産会社が「○カ月限定で、この物件に住んでください」などと賃借人に依頼し、いわば無理やり満室にするのです。もっとひどい場合は、実際に住んでいないのに書面上だけで住んでいることにする、いわば“サクラ入居者”というケースもあります。
こうした例に騙されないためには、賃借条件や賃借人の条件がまとめられたレントロール(貸借条件一覧表)を確認し、「契約直前に入居が決まっていないか」「近い日付で入居者がかたまりすぎていないか」ということをチェックしましょう。また、物件に足を運んだときも、「ガス(電気)メーターはまわっているか」「外観や玄関付近を見て、人が生活している感じがあるか」などを確認する必要があります。