失敗しないための不動産投資リスク戦略⑤災害リスクにどう対応するか

2018年03月28日

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  • 阪神・淡路大震災や東日本大震災は、不動産投資家にも大きな影響を与えました。地震国日本で避けられないリスクとして、災害リスクを踏まえた不動産投資のあり方について考えます。

  • 建物の強度アップで大震災に対応

  • 日本は災害リスクがとりわけ高い国です。事実、首都圏直下型地震は避けられないと、専門家の間では指摘されています。文部科学省では南関東で M7 クラスの地震が発生する確率は 30 年以内に 70%と予測しています。

    南海トラフ巨大地震も同様です。2013 年 1 月 1 日時点の南海トラフ巨大地震の 30 年以内の発生確率も、60~ 70%と予測されています。いつ大地震が起きても不思議ではありません。

    日本では阪神・淡路大震災、東日本大震災と大きな災害が起こるたびに、建物自体の強度や耐震構造などに対する関心が高まりました。木造よりは鉄骨の建物、さらに RC 造、 SRC 造と強度は増していきますが、一般的に RC 造、SRC 造の建物であれば、地震にも強いと言われています。しかし、その建物がいつ建てられたかによって耐震性が異なりますし、東日本大震災では、千葉県の高級住宅地が液状化し、土地そのものが破壊されてしまったという事態も起こりました。

  • 行政情報も幅広く取得

  • 1981 年、建築基準法施行令が改正され、いわゆる新耐震基準が導入されました。耐震性という観点では、この 1981 年以降に建てられた物件であるかどうかを1つの基準にするべきでしょう。1981 年以前の旧基準では、震度 5 程度の地震に耐えうる住宅と規定されていましたが、新基準では、震度 6 強以上の地震でも倒れない住宅と規定が改められました。すなわち、大規模地震も想定した基準に変えられたのです。

    さらに、災害リスクに対応するには、地盤の強さや河川からの距離、最大規模の津波を想定した浸水予測などにも注目する必要があります。現在は、各市町村によって、「地震ハザードマップ」「洪水ハザードマップ」「津波ハザードマップ」「建物倒壊危険度マップ」「揺れやすさマップ」「液状化危険度マップ」などが役所のホームページなどを通じて、情報提供されています。購入を希望する物件のエリアの倒壊危険度、揺れやすさ、液状化の危険度などを調べて、物件購入の判断材料としましょう。

  • 保険で災害に備える

  • ただし、危険度はある程度分かったとしても、自然災害はいつ、どこで発生するか、正確に分からないのも事実です。実のところ、阪神・淡路大震災が発生した関西地方、東日本大震災が起こった東北の太平洋沿岸地方の災害危険度はそれほど高くなかったという指摘もあります。

    では、こうした災害リスクに対しては、どのように対応すべきでしょうか。基本的には以下の各種保険によって備えます。

    ①地震保険
    ②住宅火災保険
    ③住宅総合保険

    それぞれについて解説しましょう。

  • ①地震保険

  • 東日本大震災を契機にして、いざというときの備えとして、地震保険に関心を払う投資家は増えてきました。

    まず押さえておきたいのは、地震保険は単独では加入することができないということです。火災保険の特約として加入することで、地震・噴火・津波による建物の損害がカバーされます。

    すべての損保会社が地震保険を取り扱っているわけではないものの、保険内容や保険料金は各社とも同じです。というのも、地震保険は国の法律に基づき、政府と保険会社が共同して運営する仕組みだからで、一度の地震につき 6 兆 2000 億円の保険金の支払いが保証されています。

    ちなみに保険料金は、地域(地震の危険度に応じて都道府県ごとに設定)と建物(RC 造か木造かなど)によって変わります。地震保険の保険金額は、火災保険の建物評価額の 30~ 50%とされています。

    被害が「全損」と認められれば保険金額の 100%、「半損」であれば 50%、「一部損」であれば 5%が払われます。これは液状化被害でも同様です。

    ちなみに、地震保険の種類は「建物」と「家財」で両方に加入する場合には、火災保険の「建物」「家財」の双方に付帯する必要があります。また、地震保険期間は最長で5年と定められています。

  • ②住宅火災保険

  • 住宅火災保険とは、火災や落雷、爆発、風災、雪災などによって建物や家財に損害が出た場合に補償される保険です。貸家の場合は、建物は投資家が、家財は入居者が契約します。

    また、管理組合がある場合は、共用部分や建物自体は管理組合が契約するケースが増えています。保険料は所在地や建物の構造、補償内容などによって変わってきます。保険期間が長期であるほど、掛け金は割安になりますが、2015 年 10 月より保険期間の最長は従来の36 年から 10 年に改められました。

  • ③住宅総合保険

  • 住宅火災保険の補償内容に加えて、建物外部からの落下や衝突、水濡れ、騒じょう、労働争議、盗難、水災によって生じた損害を補償するのが住宅総合保険です。
    海や河川に近いエリアに物件を購入する場合などには、住宅総合保険への加入も視野に入れておきましょう。

  • 全国への分散投資も有効

  • 地震保険は保険料も高いのでためらうところですが、いざというときには、保険金によってローン返済だけでもできる状況を用意しておきたいものです。

    ただ、保険は保険金がおりる条件など、契約内容を十分に確かめて入る必要があります。これは、火災保険など、通常のリスクに対応して保険に入る場合も同じです。
    地震や津波、噴火、台風といった災害リスクを回避するためには、東北、首都圏、関西圏、九州といった、全国の分散投資も視野に入れる必要があります。また、前述したように大きな地震を引き起こす危険性のある活断層、あるいは過去に洪水の被害の大きかったエリアなどを、あらかじめ調べて投資する必要もあります。